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講談社現代新書

フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔


著者:高橋昌一郎/著
価格:940円+税
刊行日:2021/02/17

出版社:講談社
ISBN:978-4-06-522440-3
Cコード:0210
[新書](哲学)

コンピュータ、原子爆弾、ゲーム理論、天気予報……現代社会の基本構造をつくった人類史上まれに見る天才の栄光と苦悩とは?



内容紹介

21世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。彼の破天荒な生涯と哲学を知れば、今の便利な生活やAIの源流がよくわかる!

「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」

彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。

<本書の主な内容>

第1章 数学の天才
――ママ、何を計算しているの?
第2章 ヒルベルト学派の旗手
――君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しようか!
第3章 プリンストン高等研究所
――朝食前にバスローブを着たまま、五ページの論文で証明したのです!
第4章 私生活
――そのうち将軍になるかもしれない!
第5章 第二次大戦と原子爆弾
――我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない!
第6章 コンピュータの父
――ようやく私の次に計算の早い機械ができた!
第7章 フォン・ノイマン委員会
――彼は、人間よりも進化した生物ではないか?

********

ノイマンがいかに世界を認識し、どのような価値を重視し、いかなる道徳基準にしたがって行動していたのかについては、必ずしも明らかにされているわけではない。さまざまな専門分野の枠組みの内部において断片的に議論されることはあっても、総合的な「フォン・ノイマンの哲学」については、先行研究もほとんど皆無に等しい状況である。

 そこで、ノイマンの生涯と思想を改めて振り返り、「フォン・ノイマンの哲学」に迫るのが、本書の目的である。それも、単に「生涯」を紹介するだけではなく、彼の追究した「学問」と、彼と関係の深かった「人物」に触れながら、時代背景も浮かび上がるように工夫して書き進めていくつもりである。
――「はじめに」より

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 ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存在しないという一種の「虚無主義」である。

 ノイマンは、表面的には柔和で人当たりのよい天才科学者でありながら、内面の彼を貫いているのは「人間のフリをした悪魔」そのものの哲学といえる。とはいえ、そのノイマンが、その夜に限っては、ひどく狼狽(うろた)えていたというのである。クララは、彼に睡眠薬とアルコールを勧めた。          
――第5章「第二次大戦と原子爆弾」より

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人類史上 最恐の頭脳!

もくじ

はじめに 人間のフリをした悪魔

第1章 数学の天才
――ママ、何を計算しているの?
――獅子は爪跡でわかる!

第2章 ヒルベルト学派の旗手
――フォン・ノイマンに恐怖を抱くようになりました!
――君も僕もワインが好きだ。さて、結婚しようか!

第3章 プリンストン高等研究所
――ジョニーはアメリカに恋していた!
――朝食前にバスローブを着たまま、五ページの論文で証明したのです!

第4章 私生活
――ゲーデルを救出すること以上に、重大な貢献はありません!
――そのうち将軍になるかもしれない!

第5章 第二次大戦と原子爆弾
――どうして自分には、彼にできたことが見通せなかったのか!
――我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない!
――我々が今作っているのは怪物で、それは歴史を変える力を持っている!

第6章 コンピュータの父
――ようやく私の次に計算の早い機械ができた!
――もし彼を失うことになれば、我々にとって大きな悲劇です!
――彼は少し顔を出しただけで、経済学を根本的に変えてしまったのです!

第7章 フォン・ノイマン委員会
――明日爆撃すると言うなら、なぜ今日ではないのかと私は言いたい!
――彼は、人間よりも進化した生物ではないか?

高橋 昌一郎

一九五九年生まれ。ミシガン大学大学院哲学研究科修了。現在は、國學院大學教授。専門は、論理学・科学哲学。主要著書に『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『ゲーデルの哲学』『自己分析論』『反オカルト論』『愛の論理学』『東大生の論理』『小林秀雄の哲学』『哲学ディベート』『ノイマン・ゲーデル・チューリング』『科学哲学のすすめ』などがある。